市史編さんNEWS 2022.02.01【テーマ展示「結核療養と清瀬」を企画】

ページ番号1010182  更新日 2022年2月21日

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郷土博物館でテーマ展示「結核療養と清瀬」公開中

写真.展示のようす

このたび、郷土博物館でテーマ展示「結核療養と清瀬」を行なうことになりました。市史編さん室が企画を担当しています。
2月1日より、4月30日までの予定です。

「病院街の成り立ち」「結核療養と文学」「予防と療養」の3部構成で、市史編さん過程で収集した資料を中心に展示しています。

会期中の3月24日に迎える“World TB Day”(世界結核デー)に向けて展示替えも予定しており、結核予防会のご協力を得て、昭和の結核予防啓発ポスター等も展示、結核関連映像作品の上映会も予定しています。

ポスターの文言など見ますと、「(罹患した患者が)家族と同室する場合は必ず三尺位離れて対座する事」などと書いてあります。結核も空気感染する病気ですし、今に通じる発見もありそうです。
清瀬病院の写真が掲載された昭和21年の「アサヒグラフ」など、当時の様子を伝える貴重な資料を展示しています。ブンガくんのブログでご紹介した作品の初版本も並んでいます。

ぜひ、おはこびください。

会期中に結核関連映像作品上映会も開催します

結核関連の映像作品上映会を行います。

  • 日時:下記3回
  • 場所:清瀬市郷土博物館 映像展示室
  • 定員:25名(先着)事前申込不要 直接会場へ
  • 上映作品:下記のとおり。毎回異なる作品を上映します
  1. 2月19日(土曜)午後1時30分~
    「再起への道-肺機能訓練療法ー」「生きぬくー回復者の記録ー」
  2. 3月19日(土曜)午後1時30分~
    「結核とのたたかいは続いている」「サッパと老人」
  3. 4月16日(土曜)午後1時30分
    「結核と斗う」「家族のこころ」

展示の背景を少しばかりお話しすると

病院街の成り立ち

清瀬と結核の結びつきは、昭和のはじめに東京府が結核専門の病院をこの地に開いたことに始まります。

計画が持ち上がったのは、昭和3年(1928)でした。候補地は、村の集落から離れた、線路の南側に広がる雑木林の一画でしたが、当時、結核は不治の病と恐れられており、結核の病院ができて多くの患者が集まることに対して、村では反対の声が上がりました。今回の展示で、村会会議録の当該箇所もご紹介しているところですが、清瀬村は東京府に対して、病院位置変更の申し立てをしています。一度は変更されるかに見えましたが、結局、東京府は当初計画のとおり清瀬に病院を設置し、昭和6年(1931)10月20日「東京府立清瀬病院」は開院の日を迎えたのでした。

府立清瀬病院ができたことを機に、周囲の雑木林を拓いて次々に結核療養所が建てられました。キリスト教や仏教の団体による療養所があり、傷痍軍人東京療養所があり、企業が社員のために建てた療養所もありました。こうして病院や療養所が集まった一帯を、地元では「病院街」と呼んでいるのですが、結核予防会結核研究所もこの病院街の入り口に立派な建物を構え、臨床部に始まる付属療養所には企業の委託病棟も擁していました。小児結核のための療養所もありましたし、結核の外科手術を専門とする病院もできました。

鉄道の駅からそう遠くないところに、十数の結核療養所が病院街を形成した土地は、ほかに例を見ないのではないでしょうか。展示では、昭和32年(1957)測量の地図に当時の病院名を書き入れ、一部写真も添えて、当時の病院街の広がりをご紹介しています。

結核療養と文学

清瀬で療養の日々を過ごした作家も少なくありません。「結核療養と文学」のコーナーでは、その一部をご紹介しています。

福永武彦は、十年がかりの大作「風土」を 東京療養所で書き上げ、清瀬で構想した「草の花」では、登場人物たちの上に療養所の日々や患者の心理を描いています。

福永と同じ病棟には、俳人石田波郷がいて、療養所の豊かな自然を詠み、当時、局所麻酔で行われた胸郭成形術の経験を詠んで、句集『惜命』を編みました。

国立療養所清瀬病院で肺の区域切除手術を受けた吉行淳之介は、入院中に「驟雨」で芥川賞を受賞し、清瀬病院での日々を映した小説「漂う部屋」を、退院の翌年、発表しています。

これらの作品に描かれた、当時の療養所の日常や、結核に向き合う人々の姿には、多くを教えられます。展示には、これらの作品の初版本が並んでいます。

予防と療養

 結核が「国民病」とも「亡国病」とも呼ばれた時代の、予防啓発ポスターや雑誌を展示しています。

昭和8年、14年の『療養読本』には、結核療養の心得が書かれていますし、昭和16年の『写真週報』記事には、東京療養所の様子がうかがえます。

昭和21年の「アサヒグラフ」に掲載された清瀬病院の病室写真は、当時の療養所の現実を語って雄弁です。

それぞれ、時を経た雑誌の質感ともにじっくりごらんください。

 

 

昭和初期の感染症予防啓発映像を公開

展示ホール入口のモニターで、昭和初期の結核予防啓発映像を映しています。
いずれも結核予防会所蔵のモノクロ無声映画です。下記4作品をくり返し上映しています。

  1. 「人類の敵」結核予防協会 昭和2年制作 49分
  2. 「栄光の日は来る」結核予防協会 昭和6年ごろ制作 27分
  3. 「結核予防」内務省衛生局制作 制作年不詳 27分
  4. 「結核予防」結核予防協会 制昨年不詳 14分

長い作品もありますが、ドラマ仕立てで鑑賞後も印象に残る作品揃いです。

 

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