市史編さん草子「市史で候」 十九の巻 「昭和のゴミ箱詐欺?!」
十九の巻「昭和のゴミ箱詐欺?!」【平成27年10月16日更新】
還付金詐欺に、警察を名乗る詐欺、国勢調査員への成りすまし。
公共機関のふりをした詐欺が近年話題になっています。
そういった話は最近のことなのでしょうか?
今回は清瀬の広報紙を遡って、今ではちょっと想像しにくい詐欺をみてみましょう。
「ゴミ箱は売っていません」
そんな見出しがあるのが、昭和37(1962)年8月15日号の町報(当時は清瀬町)です。
一体なんのことなのか?
記事の全文はこうです。
このようなことにまどわされないようにご注意を願いたいとおもいます。
現在ではゴミは袋に入れて出しますが、当時はゴミ箱で出して申し込んだ家の分が回収されていくというものでした。
だから町役場のふりをしてゴミ箱を売りつける不届き者がいたんですね。
しかもこの話題、この年で終わりません。
2年後の昭和39(1964)年9月26日号の町報にもこんな見出し。
「七〇〇円のポリバケツを三〇〇〇円に ご注意下さい」
今度の記事ではゴミ収集用のバケツをなんと約4倍にして売りつけています!
やっぱりこの時も、「このバケツを買えば、町でごみをあつめにくる」と嘘をつき、町報では「町では、けしてこのようなことはしていません」と注意を呼びかけました。
こうしたゴミ収集にかこつけた詐欺が行なわれた背景には、ゴミをゴミ箱やバケツで収集していたこともそうですが、タイミングというものもあったのでしょう。
実はもともとゴミ収集は個人業者がおこなっていたのですが、移行期間(町の委託をうけた業者が収集)を経て、詐欺が話題に登る1年前の昭和36(1961)年4月、清瀬町によるゴミ収集が始まりました。
また、2つの記事の間の昭和38(1963)年1月1日号の町報では「新生活運動で ポリバケツを」の文字。
記事の内容はこうです。
足をとめたところは、野塩の町営住宅です。「ざんぱん入れ」とマジックインキでかかれています。…(途中略)…
これは新生活運動の一端としてこの町営住宅の人たちが実施しているものです。
この運動も、今年は全町的に進めていきたいものであります。
そして町では、台所ゴミを捨てるための硬化ポリエチレン製43リットルのポリバケツを、1個1,000円であっ旋しています。
生活の改善を図る「新生活運動」の一環としているので、衛生面や利便性の問題からポリバケツが推奨されたのでしょう。
流れを整理するとこんな風に。
- 昭和36年 町によるゴミ収集開始
- 昭和37年 町報にゴミ箱詐欺の注意喚起の記事
- 昭和38年 町報でポリバケツを奨励
- 昭和39年 町報にポリバケツ詐欺の注意喚起の記事
ゴミ処理の変化に目を付けた悪者がいて、今では想像しにくい詐欺が行なわれていたんですね。
今も昔も制度の変わり目にはお気を付けを。
関連町報記事
昭和36年4月25日号・昭和36年8月25日号・昭和37年8月15日号
昭和38年1月1日号・昭和39年9月15日号・昭和44年5月15日号
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