市史編さん草子「市史で候」 十三の巻 「けやき並木の彫刻たち」
十三の巻「けやき並木の彫刻たち」【平成27年5月11日更新分】
けやき並木と空と畑に包まれるようにたたずむ彫刻たち。
キヨセ ケヤキ ロードギャラリーは、清瀬駅北口から北に伸びるけやき通りに沿って道路の両側に24基の彫刻が並ぶ屋外ギャラリーです。
このロードギャラリー、いつごろできたかご存じですか?
第1期のオープンは、平成2(1990)年5月28日。
郷土博物館に近いけやき通りに沿って、具象彫刻が10基設置されました。
両脇を、市内在住の彫刻家、澄川喜一、城田孝一郎両氏の作品が固めています。
お二方とも、日本における彫刻の名だたる賞である平櫛田中(ひらくしでんちゅう)賞の受賞者。
第2期完成は平成4年(1992)年。
1期作品よりも駅寄りに、抽象彫刻8作品が並びました。
第3期完成は、平成5(1993)年。
外国の彫刻家の5作品を加えて、全長約1kmの国際色も豊かなロードギャラリーができあがりました。
初めて清瀬のけやき通りを訪れたときに、空気感の違いに気づかれた方も多いことでしょう。
なにげなく並んでいるようでいて、けやき通りの彫刻は、さりげなく超一流。
日本を、世界を代表する著名な作家による作品が並んでいます。
作品はコミッショナーである三木多聞氏(元国立国際美術館長)によって選び抜かれ、設置にあたっては専門のコンサルタント事務所が入り、「ケヤキの樹間に、ほど良い間隔で、ほど良い大きさの彫刻を設置し、そこを往来する市民が、丁度、美術館で彫刻や絵画を鑑賞するのと同様な雰囲気を熟成する」キヨセ ケヤキ ロードギャラリーができあがったというわけです。*1
ところで、いったいどういう経緯でこんな素敵なロードギャラリーが清瀬に?
思い起こせば、各自治体に「ふるさと創生1億円」が交付された昭和の終わり。
清瀬市は、1億円の使い道について、市民のアイディアを募集しました。
「彫刻のあるまちづくり」は、寄せられた96件のアイディアから、清瀬市まちづくり対策事業選考委員会による検討結果、選ばれた「優秀賞」でした。
ちなみに、このときの最優秀賞は、遊歩道形式の「自然学習園づくり」。
こちらは、平成12(2000)年オープンの「清瀬せせらぎ公園」につながりました。
柳瀬川回廊の一角を成す親水公園です。
一方、「彫刻のあるまちづくり」は、キヨセ ケヤキ ロードギャラリー設置という形で実現。
彫刻群は国内作家の具象作品に始まり、抽象作品、外国作家の作品、と期を追って内容もより充実し、ロードギャラリーは今ではすっかり市民の暮らしの風景にとけこんでいます。
設置の時期別に、作家と作品の一覧を挙げておきましょう。
第1期:具象彫刻
掛井五郎「いちじく」、佐藤忠良「亜古」、城田孝一郎「花のころ」、澄川喜一「そりのあるかたち‘90」、手塚登久夫「梟月夜」、舟越保武「笛吹き少年」、堀内正和「エヴァからもらった大きなリンゴ」、柳原義達「道標・鳩」、山本正道「思い出」、淀井敏夫「幼いキリン・堅い土」
第2期:抽象彫刻
吾妻兼治郎「水滴」、井上武吉「my sky hole 91-8」、小田 襄「惑星」、清水九兵衛「標甲」、土谷 武「四本の木」、新妻 實「MOUNTAINOUS」、細川宗英「王妃」、保田春彦「黒い石をつつむ幕舎」
第3期:外国作家作品
マリオ・チェロリ「追想……町をゆきて」、リン・チャドウィック「ベンチにすわる少女」、セバスチャン「青い樹」、ライモ・ウトゥリアイネン「TENKO III」、フランシスコ・スニガ「ユカタンの女」
のちに大成 浩「風の標識 No.31」を加え、キヨセ ケヤキ ロードギャラリーには現在24の作品が並んでいます。
日常見慣れたロードギャラリーの彫刻とどこか似た作品に出合って、あ!っと思ったことはありませんか?
たとえば上野の東京都美術館を訪れると、正門を入ったところで井上武吉の「my sky hole 85-2 光と影」が迎えてくれます。正門脇にあるのは、リンゴの彫刻の堀内正和の「3本の直方体B」。
国立近代美術館(東京・京都)や国立国際美術館(大阪)にも、ロードギャラリーの多くの作家の作品が収蔵されていますし、例えば倉敷の大原美術館で、見覚えのある柳原義達の鳩の彫刻をみつけるなど、旅先で嬉しい発見につながることも。
世界の街のどこかで、美術館で、ロードギャラリーの兄弟作に会えるかもしれません。
毎日駅まで通う道筋に、そんな彫刻たちが佇み、見守ってくれている。
清瀬って、文化的かも。
*1『「キヨセケヤキロードギャラリー」完了記念 設置彫刻作品集』 清瀬市 平成2年
関連記事掲載「市報きよせ」:平成1(1989)年8月1日号、平成2(1990)年1月15日号、同年5月15日号
配置図や各作品の詳細については、以下のページをごらんください。
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